見にくいフォントの使用は極力ひかえるべきだが、たまには使いたくなってしまう。あの「書類感」がよかったりするの。
MSフォントの存在
MacでもWindowsでもMicrosoft Officeをインストールした端末なら必ずMSフォントが使える。MSフォントというのは、「MS明朝(MSP明朝)」と「MSゴシック(MSPゴシック)」である。
MSフォントの人気は地面をはっている。見にくさ、細部のデザインなどを理由に別のフォントに置き換えられつつある。すでにMicrosoft Officeでは標準フォントをMSフォントから游フォント(游明朝や游ゴシックなど)に置き換えられた。
しかし、すべてのMSフォントが游フォントに置き換えられたわけではない。MSフォントを多用していた時代に作成されたテンプレートを用いる場合、他者とのデータ共有が頻繁になされる場合にはMSフォントが使われることが多い。
そんなMSフォント。まだ需要はあると私は思う。そして、たまに使いたくなることもある。
たまに使いたいMSフォント
前提として、MSフォントの形状そのものは変えられない。細部が気に入らないからといってハライ・ハネ・トメは変えられない。
そんな前提があってもMSフォントには魅力がある。
まず、行間だ。
MSフォント以外のフォントは行間を適切に設定してあげないと大きく空いてしまう。これは、フォントの特性によるものでしょうがないことである。モリサワのBIZシリーズのフォントを使えば解消する問題であるが、ここでは触れないことにしよう。
MSフォントフォントなら行間が大きく空いてしまうことがない。これはMSフォントの特性である。大きな行間が空かないため、自由に行間を設定することができる。あえて広くすることもできるし、狭くすることもできる。これはMSフォントの魅力の一つだろう。
続いて、雰囲気だ。
上は、東京消防庁の「危険物仮貯蔵仮取扱申請書」をWordで開いたものをスクリーンショットしたものである。MSフォントは行間が大きくないためフォントサイズを小さくして隙間に入力することもできる。なんといっても、「書類感*1」を表現することができる。
MSフォントは行政でも教育でも謝罪でも発行書類によく使われる。それゆえ、「MSフォント=書類」というルールのようなものが意識しなくても頭にこびりついているのである。
最後に、安心さ。
Microsoft Officeがインストールされていれば、どんな環境でも使うことができるMSフォント。つまり、「環境問わず表示されるフォント」ということである。今の時代、MSフォントが使えないという話はあまり聞かない。
MSフォントは「誰でも使える」から安心感がある。「体裁が崩れちゃうかな?」とか「文字化けしちゃうかな?」なんて考えなくてよいのだ。
MSフォントはよいこともある
MSフォントに見にくさ、読みにくさは否定できない。でも、使用場面によっては都合がよかったりする。
最も大事なのは「適切な場面で使うこと」である。
ちゃんと理由があり、適切な場面で使うことができれば、MSフォントでも問題ない。私はそのように思っている。
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Report:R-kun(情報保管庫)
Photo:R-kun Office、PAKUTASO
*1:書類感:いかにも書類らしさがある様子。R-kunが作った言葉である。